神話

ダイモーン

だいもーん 別名:Daimon・Daemon・ダイモン

意味

ダイモーンは、古代ギリシャ語で神的な力や存在を幅広く指す語です。人を見守る存在、神と人の仲介者、個人へ届く神的な徴など、文献によって役割が異なります。

解説

ヘシオドスの『仕事と日々』では、黄金の種族が死後に地上のダイモーンとなり、人間の判断や行いを見守ると語られます。ここのダイモーンは固有名ではありません。人の世界に関わる神的存在の呼び名です。現代の「悪魔」という意味だけを、これらの用例へそのまま当てはめることはできません。

プラトンの『響宴』で、ディオティマはダイモーンを神と死すべき人間の間にある存在と説明します。人間の祈りや供え物を神々へ、神々の命令や返礼を人間へ伝える仲介者で、エロスもその一者とされます。一方、ソクラテスが語る「ダイモニオンの徴」は、行動しようとする彼をときどき制止する「神的な徴」です。この個人的な徴と、ダイモーン全体の定義も区別します。

占いや心理的な文章で「内なるダイモーン」と書く場合は、古代の語義をそのまま再現する表現ではありません。繰り返し自分を制止する感覚、長く向かってきた才能や課題を言葉にする、後世の比喩的な用法です。歴史上の用法と象徴的な解釈を分ければ、どの文脈の意味を採っているかが明確になります。