哲学・心理
解釈共同体
かいしゃくきょうどうたい 別名:interpretive community・interpretive communities・解釈コミュニティ意味
解釈共同体とは、文章や象徴を読む時に、何へ注目し、何を根拠とし、どの読みを妥当とみなすかという解釈の方略を共有する人々を指す文学理論の概念です。共同体を成り立たせるのは、解釈の方略の共有です。公式名簿や共通結論の有無とは別に捉えます。
解説
この概念は、文学研究者スタンリー・フィッシュが一九七六年の論文と一九八〇年の著書で展開しました。解釈の方略とは、語句の反復を重要とみなす、作者の時代背景を調べる、読んでいる間の反応を追うといった、読みを進める方法です。同じ文を読んでも方略が違えば、証拠として取り上げる箇所や、受け入れられる説明が変わります。
共同体の成員は互いに異なる意見を持ち、構成も時間とともに変化します。一人が文学研究、宗教、職業など複数の読み方に参加するのは、所属が重なり合う例です。同じ共同体にも専門分野や教室ごとの下位集団があり、読み方の輪郭はそれぞれ異なります。フィッシュは、ある教室で受け入れられる読みが別の教室では文学的でないと退けられる例を挙げました。この例は、受け入れられる読みの境界が集団間でも時代によっても動くことを示しています。
専門家と初学者に三種類の短編を読んでもらった一九九六年の研究では、理解、楽しみ方、評価の反応に集団ごとの異なる傾向が見られました。これは、読みの経験と前提が反応へ関わるという考えを支える一例です。一つの実験が示すのは、限られた条件における集団差です。概念を使う時は、どの集団がどの方略を共有したと考えるのかを示します。
タロットでは、カード名、番号、描かれた人物や物、色、展開上の位置を現物から確かめられます。正逆位置、元素対応、隣接札の影響を加えるかは、デッキの解説書、講座、流派などが共有する解釈規則の領域です。同じカードを予測として読む集団と、相談者が状況を整理する材料として読む集団では、注目する図像や妥当とする説明が変わり得ます。そこで、共同体の違いを論じる際は、印刷された図像と採用した解釈規則を別々に記録します。
読解の前提を明らかにするには、使用したデッキと版、参照した解説書、正逆位置の採否、象徴対応、例外を記録します。別の読みと比べる時は、結論だけを争う前に、採用した規則と根拠を照合します。共同体の合意が示すのは、その読みが内部の規則に沿うことです。外部の出来事は別の証拠で確かめます。解釈規則は意味を組み立てる取り決め、デッキ体系はカード名や番号と占術対応のまとまり、意味生成は象徴と経験から理解が作られる過程を示します。