哲学・心理

選択的記憶

せんたくてききおく 別名:selective memory・記憶の選択性

意味

選択的記憶とは、注意、感情、後から受けた情報、現在の関心などによって、経験の一部が覚えやすくなり、別の部分が思い出しにくくなることです。このページでの用途は、占いを振り返る時に記憶の偏りを点検することにあります。

解説

感情を伴う出来事は、中心と周辺で記憶の詳しさが変わる場合があります。ウォーリングとケンシンガーの実験では、感情を喚起する中心の画像が中立的な画像より記憶されやすい一方、周辺の背景情報は記憶されにくくなる傾向が、肯定的・否定的な場面の双方で観察されました。この結果が示すのは、感情が中心項目と周辺情報の記憶へ異なる影響を与えたことです。細部の正確さには、記録との照合など別の検証が要ります。

思い出す内容は、出来事の後に受けた情報にも左右されます。ロフタスとパーマーの実験では、自動車事故の映像を見た参加者へ速度を尋ねる際、衝突を表す動詞を変えると速度の推定が変わりました。さらに後の質問では、実際の映像に割れたガラスがなくても、それを見たという回答に条件間の差が生じています。質問文が後の記憶報告へ影響した一例です。個々の記憶の正誤は、当時の記録や他の資料との照合で判断します。

印象的な的中をすぐ思い出せると、的中が全体の中で多かったように感じる場合があります。トヴェルスキーとカーネマンは、例を思い出しやすいほど出来事の頻度や確率を高く見積もる判断を、利用可能性ヒューリスティックとして示しました。選択的記憶は何が残り、取り出されるかという記憶の偏りに焦点を当てます。利用可能性ヒューリスティックは、その思い出しやすさを頻度判断の手掛かりにする段階です。

タロットで後から確かめられる事実は、日付、質問文、引いたカード、向き、配置、最初に書いた解釈です。「あの札は退職を言い当てた」という後日の記憶は、当時の記録と照合する対象になります。振り返る期間を決め、一致、不一致、判断不能、期間内に確認できない例を同じ書式へ残すと、強く印象に残った一件が全体の代表かどうかを確かめられます。

確証バイアスは、先に持つ考えを支持する情報を探したり解釈したりしやすい傾向です。後知恵バイアスは、結果を知った後で、当初から予測できたと感じやすくなる問題を指します。選択的記憶が問うのは、経験のどの部分が覚えられ、後に思い出されたかです。一つの振り返りに複数の傾向が重なることはあります。記録から分かる範囲を保ち、検索、解釈、結果後の評価、想起を別々に点検します。