哲学・心理

予言の自己成就

よげんのじこじょうじゅ 別名:self-fulfilling prophecy・自己成就的予言

意味

予言の自己成就とは、予測や期待を受けた人の行動、他者からの接し方、制度上の判断が変わり、その変化を通じて、当初は成り立っていなかった予測に近い結果が生じる過程です。予測そのものが未来を言い当てた場合とは、結果までの行動経路で区別します。

解説

社会学者ロバート・K・マートンは、一九四八年の論文で、当初は誤っていた状況の定義が新たな行動を呼び、その行動によって誤った見方が現実になる過程を「自己成就的予言」と名づけました。銀行が危ないという根拠のない認識から預金者が一斉に引き出し、実際の支払い能力を損なう例も示しています。結果を生む経路は、その言葉を受けて変わった行動と周囲の反応にあります。

期待は、期待を向けられた人の振る舞いにも影響し得ます。スナイダーらの一九七七年の実験では、男性参加者が通話相手の女性を魅力的または魅力的でないと思うよう操作されました。女性はその操作を知らされていませんでしたが、第三者が音声から評価した女性の親しみやすさなどに条件差が現れています。一つの実験から日常のあらゆる期待へ一般化はできないものの、相手への接し方を介して最初の思い込みに沿う反応が引き出される経路を示した研究です。

タロットでは、引いたカード、向き、配置が観察できる事実です。「この応募は通らない」という占断は、それらへ加えた占術上の解釈に当たります。その文を受けて応募を取りやめたり、準備や連絡を減らしたりした後で不採用になっても、その結果だけではカードが独立に未来を予測したのか、行動の変化が結果へ関与したのかを分けられません。行動経路を調べず、結果の一致だけから自己成就と断定することもできません。

振り返りでは、占断前の予定、実際に伝えた文、占断後に変わった行動、相手や組織の反応、最終結果を時系列に並べます。「連絡は返ってこない」という文の後で自分からの確認を止めたなら、その変更も結果欄への記録対象です。変更がなくても同じ結果になった可能性は残ります。景気、選考基準、相手の事情といった別の説明と照らし合わせると、予測から結果までの経路を一つに決めつけずに済みます。

確証バイアスは、信じている考えを支持する情報へ注意や解釈が偏る問題です。予言の自己成就が問うのは、予測を受けて生じた行動や対人反応が、結果そのものを変えたかどうかです。自由意志と予測のページでは、予測を知った後にも選択が残ることを検討します。セッション記録を使い、記憶や評価の偏りと、実際の行動変化を別々にたどります。