哲学・心理

証言的知識

しょうげんてきちしき 別名:testimonial knowledge・testimony・証言による知識

意味

証言的知識は、話し手や書き手の報告を根拠に、受け手が事実を知ることです。自分で現場を見ていなくても知識を得られる一方、報告された内容、伝えた人、受け手が持つ反対証拠を分けて評価します。

解説

認識論でいう証言は、ある人が「何が事実か」を別の人へ伝える行為です。その形式には、会話、手紙、報告書、ニュース記事のような書面があります。「Aさんが会議は中止だと述べた」は報告があったという事実で、「会議は中止だ」は報告内容についての主張です。前者を確かめた段階では、後者の真偽は未確定です。証言的知識を考える時は、報告の存在と報告内容をまず分けます。

私たちは、地名、過去の出来事、科学上の成果など、多くを他者の報告から学びます。ただし、なぜ証言を信じてよいのかについては理論が分かれます。ヒュームに由来する還元主義は、話し手の誠実さや正確さを経験から評価するなど、証言とは別の根拠を求める立場です。これに対し、リードに由来する非還元主義は、疑う十分な理由がない限り、証言を受け入れる推定上の権利があると考えます。両者とも、疑う理由や反対証拠があれば信頼を見直します。

証言が知識になるかは、話し手の信頼性と受け手の状況の両方で決まります。調べる点は、話し手が直接見たのか、人づてに聞いたのか、対象を見分ける能力と機会があったのかです。受け手に矛盾する資料や、話し手の利害を示す情報があれば、評価に組み込む必要があります。また、話し手が持つ知識を受け手へ伝えるだけなのか、正確な報告によって受け手に新たな知識が生じる場合もあるのかは、現代の証言論で争われています。

実際の報告を調べる時は、最初に内容を一つの命題へ整えます。その次にたどるのは、最初の観察者、伝言の経路、日時、観察の機会、専門性、利害、訂正履歴、反対資料です。「痛みを感じた」という本人の報告は、その経験について重要な一次情報になります。一方、その報告が直接支えるのは本人の経験であり、痛みの医学的原因や第三者の意図は別に確かめる対象です。報告が支える範囲を定めれば、推測が入り込んだ場所を特定できます。

タロット相談では、相談者が「昨日、相手から連絡があった」と述べたことは証言として記録できます。引いたカード、向き、配置はその場で観察できる事実で、図像を「再会」や「緊張」と結ぶ文は占術上の解釈です。さらに「相手は復縁を望んでいる」と述べるなら、その人の内心についての別の主張になります。相談者の報告、カードの観察、象徴解釈、第三者についての推測を分ければ、それぞれに必要な根拠を取り違えにくくなります。