神話
ヘカテ
へかて 別名:Hecate・Hekate・ヘカテー意味
ヘカテは、初期のギリシャ詩では地上、海、天空に広い力を持ち、後代には戸口、三叉路、夜、魔術との関係が強まった女神です。時代ごとの資料を分けると、役割が変化した過程を追えます。
解説
ヘシオドス『神統記』は、ヘカテをペルセスとアステリアの娘とし、ゼウスから地上、海、星空にわたる名誉を保たれた女神としてたたえます。王の裁き、集会、戦い、競技、騎乗、漁、牧畜、子どもの養育まで、助力を与える場面は広範です。この初期資料の姿を起点にすると、ヘカテの役割が魔術や冥界だけに収まる神格より広かったことが分かります。
『ホメロス風デメテル讃歌』で、ヘカテは松明を手にデメテルの前へ現れます。彼女が得た手掛かりは、連れ去られるペルセポネの叫び声だけでした。そこでデメテルとともに、地上を見渡す太陽神ヘリオスへ事情を尋ねます。ペルセポネが地上へ戻ると、ヘカテは彼女を迎え、以後は付き添う存在となりました。松明、探索、冥界からの帰還というつながりは、この讃歌の出来事からたどれます。
紀元前5世紀以降の文献と祭祀には、戸口や三叉路、夜、魔術がヘカテの主要な領域として繰り返し現れます。大英博物館のローマ時代の奉納浮彫には、長衣と円筒形の冠を着けたヘカテが三体一組で表されました。三方向を向く姿は、複数の道が交わる場所を守る後代の役割と対応します。図像そのものが示すのは三体の姿までで、月の満ち欠けとの対応は別の資料で検討する必要があります。