哲学・心理

解釈の客観性

かいしゃくのきゃっかんせい 別名:objectivity of interpretation・objective interpretation・解釈の客観性問題

意味

解釈の客観性は、異なる解釈を共有可能な資料、基準、推論によって比較し、他者が検討して修正できる状態をどこまで作れるかという論点です。完全な無前提性を求める立場から、解釈者の歴史的な位置を認めたうえで根拠の公開を重視する立場まで、客観性の捉え方には幅があります。

解説

文章や作品には複数の読みが生じ、それぞれを支える根拠の強さも異なるため、語の用法、文法、ジャンル、成立時の資料、文章全体との整合、反対材料への応答を示して候補どうしを比較します。解釈の客観性をめぐる議論は、解釈者の関心を消せるかという問いと、関心を持つ解釈者どうしが妥当性を確かめられるかという問いを区別します。

E・D・ハーシュは、客観的な解釈を支える基盤を証拠に置きました。彼の理論の中心にあるのは、文章が伝える言語的意味を著者の意図と関係付け、現在の読者にとっての意義と分ける考えです。利用できる証拠に照らして複数の候補を比べ、最も確からしい解釈を選ぶため、結論は新しい証拠によって変わり得ます。著者意図へ置く比重は、他の解釈理論との論争点として残っています。

ガダマーは、理解する人が歴史、言語、先入見から完全に離れた観察者になるという理想を批判しました。一方、リクールは、文章の構造を分析する説明と、その文章が開く意味を受け取る理解を往復させます。この二つの立場では、客観性を、解釈者が前提を示し、対象からの反論を受け、根拠に応じて読みを改める営みとして捉えます。

タロットでは、使用した版、カード上で観察した人物や物、制作者の解説、後代の占術書、スプレッド上の位置、相談の問いを別々に記録します。次に、少なくとも二つの解釈候補を置き、各候補が説明できる要素と説明しにくい要素を比べます。カードに描かれた物は図像上の事実ですが、その物を特定の感情や未来へ結び付ける読みは解釈です。根拠の種類を分けることで、読みの範囲を第三者にも示せます。

相談記録には、採用した解釈、別の候補、賛成材料、反対材料、未確認事項、見直す条件を残します。相談者の発言は本人の経験を知る重要な資料であり、他者の心理や将来の出来事を証明する資料とは役割が異なります。医療、法律、金融、安全に関する事実判断では、専門家の助言、公的資料、契約、検査結果などが根拠です。カード解釈は問いを整理する補助として位置付けます。