哲学・心理
易伝
えきでん 別名:Yizhuan・Commentaries on the Changes意味
易伝は、『周易』の卦辞・爻辞を解釈し、卦象、筮法、倫理、宇宙観へ議論を広げた注釈文献群です。通行本では「十翼」とほぼ同じ範囲を指し、古い経文に対する後代の解釈層として位置付けられます。
解説
易伝は七種類の文献を十編に数えます。彖伝、象伝、繋辞伝をそれぞれ上下二編とし、文言伝、説卦伝、序卦伝、雑卦伝を一編ずつ加える構成です。「翼」は経文を助けるものという比喩で、十編をまとめて十翼と呼びます。
各伝は対象と役割が分かれています。卦辞を卦象や爻位から解くのが彖伝、卦全体と各爻の像を言葉にするのが象伝です。繋辞伝は易の記号、変化、筮法を総論し、文言伝は乾・坤を詳しく論じます。説卦伝は八卦の性質、序卦伝は六十四卦の順序、雑卦伝は卦どうしの対照を主題にした文献です。
易伝を孔子の作とする伝承は、長い受容史の一部です。現代研究は、戦国期から前漢期にかけて複数の書き手と時期を経た文献群として検討しています。伝承上の著者、本文が形成された時期、現在の形へまとまった時期を分けて書くと、思想史と信仰上の尊重を同じ事実にまとめる混乱を避けられます。
易経の一節を紹介する時は、卦辞・爻辞という経文と、彖伝・象伝などの伝文を別に示します。原文、底本、翻訳、古注、現代研究、自分の応用という順序で出所を添えると、どの文章がどの意味を支えるかが明確です。王弼注や孔穎達疏も易伝そのものとは層が異なり、易伝をさらに読む後代の注釈に当たります。
占筮では、最初に得た卦と爻へ対応する卦辞・爻辞を記録し、次に採用した易伝の文章を加えます。経文と伝文に書かれた語句は資料上の事実であり、相談内容へ結び付けた意味は占術上の解釈です。複数の伝文が異なる方向を示す時は、問いと関係する根拠を比べて候補を並べます。健康、契約、金銭、安全の事実は専門資料へ確かめます。