神話

アダド

あだど 別名:Adad・Ishkur

意味

アダドは、古代メソポタミアで嵐、雷、雨をつかさどった神です。雨は農耕に実りをもたらし、暴風や洪水は暮らしを脅かすため、アダドは天候の恵みと破壊力を一つの神格に表します。

解説

古代メソポタミアの文書では、シュメール語のイシュクルとアッカド語のアダドが、早い時期から同じ嵐神を指す対応名として現れます。アダドという名の由来は「雷鳴」を表すセム語系の語根で、西セム語圏のハダドへつながる呼称です。地域ごとに呼び名や祭祀の歴史が移り変わるため、資料の言語と年代を添えることが関係をたどる手がかりになります。

シュメール語の賛歌は、イシュクルの雷鳴が豊穣を告げ、雨や雹を伴う嵐が大地を揺らす様子を歌います。メソポタミア南部では嵐の破壊面、降雨に頼る北部では雨をもたらす恩恵が特に意識されました。天候が作物を育てる力と損なう力を併せ持つことが、神の性格へ映されています。

美術では、角のある冠を着け、枝分かれした稲妻を持ち、牡牛の上またはそばに立つ姿が識別の手がかりです。大英博物館の円筒印章89155でも、稲妻と牡牛がアダドを示します。このサイトの象徴解釈では、恵みと脅威が同じ変化から生じる局面、制御しにくい力への向き合い方を考える題材とします。後半は古代の図像から広げた現代の読みです。