神話
アウズンブラ
あうずんぶら 別名:Audhumla・Auðhumla意味
アウズンブラは、北欧神話の創世時に霜から現れた雌牛です。四筋の乳で原初の巨人ユミルを養う一方、塩気のある氷を舐め、神々の祖ブーリを氷の中から姿を現させました。
解説
物語の舞台は、火の領域ムスペルと氷の領域ニヴルヘイムの作用が原初の空隙ギンヌンガガプへ及ぶ時です。霜が滴るところからユミルが生じ、続いてアウズンブラが現れます。『散文のエッダ』では、雌牛の乳房から流れる四筋の乳がユミルの食物になりました。
アウズンブラ自身は、塩気のある氷の塊を舐めて養われます。舐め始めた日の夕方には男の髪、二日目には頭、三日目には全身が氷から現れました。この男がブーリです。アウズンブラの舌が氷を削り、ブーリの姿を段階的に現します。
ブーリはボルの父となり、ボルと巨人の娘ベストラの間からオーディン、ヴィリ、ヴェーが生まれます。一方、アウズンブラの乳を飲んだユミルからは霜の巨人の系譜が続きました。アウズンブラは、後に対立する神々と巨人の祖先を同じ創世場面で支える位置にいます。
アウズンブラを豊穣や母性の象徴として読む場合、根拠になる図像は乳による養いと、氷から祖先を現す動作です。豊穣や母性という象徴語は、物語の役割をもとに後世の読者が導く解釈に当たります。現存する詳しい逸話はこの創世場面に集中しており、別文化の聖牛との同一視は資料の裏付けを欠く比較に当たります。