象徴

コチニールレーキ

こちにーるれーき

意味

コチニールレーキは、コチニールカイガラムシから得るカルミン酸を、アルミナなどの無機質の基材に沈着させた赤色の有機顔料です。水に溶ける染料を粉末の絵具材料へ変えたレーキ顔料の一種で、配合やpHの条件によって赤から紫紅まで色合いが動きます。

解説

コチニールレーキは、コチニールカイガラムシに含まれるカルミン酸を使う赤色顔料です。レーキ顔料は、水に溶ける染料をアルミナのような無機質の基材へ結び付け、粉末として扱える形にしたものをいいます。名称の「コチニール」は原料、「レーキ」は染料から顔料を作る工程を示すため、同じ赤でも成分や製法を読む手掛かりになります。

色合いを左右する要因は、原料のほかに、金属塩、pH、基材です。米国議会図書館の保存科学資料は、カルミン酸が金属塩との組み合わせやpH(酸性・アルカリ性の程度)に応じ、赤、紫紅、橙寄りまで変化することを示しています。絵具の実物を見分ける時は、基材、結合材(顔料を絵具にまとめる成分)、製造時期を合わせて調べます。

米国議会図書館の保存科学資料は、スペインの到来以前に、マヤ・アステカ社会でコチニールのカルミン酸が織物を染めたことを伝えます。十六世紀以降、スペインが欧州へ送ったことで、鮮やかな赤の色材は広く取引されました。ここでいう交易の広がりは、顔料の化学的性質とは別の歴史的背景です。

色の残り方は、基材、pH、結合材、光への露出で変わります。米国ナショナル・ギャラリーの比較実験では、コチニールをアルミニウムで定着させたレーキ顔料の一部が光で急速に退色し、基材のpHによって退色の速さが異なりました。作品の赤が薄く見える理由には、材料と保存環境の両方が関わります。

保存科学では、クロマトグラフィーのように成分を分ける分析法から、コチニール由来の色素を探ります。色名の「カーマイン」は、コチニールと近縁のケルメス由来の赤にも用いられる名称です。名称は原料を決める材料の一つで、分析結果や記録との照合により色材候補の精度が上がります。

占い・創作では、昆虫から得た赤が布と絵画を介して移動してきた歴史から、コチニールレーキを価値、移動、生命の色として読むことがあります。この読みは、材料分析や交易史と並べて置く象徴的な解釈です。