象徴
ホルトゥス・エイステッテンシス
ほるとぅすえいすてってんしす意味
ホルトゥス・エイステッテンシスは、ドイツのアイヒシュテットにあった庭園の植物を描いた大判の植物図譜です。バシリウス・ベスラーが編纂し、一六一三年に初版が刊行されました。
解説
ベスラーは薬剤師で、この庭の管理にも携わりました。庭を所有する司教ヨハン・コンラート・フォン・ゲミンゲンが、栽培する植物を本に残そうと制作を依頼したのです。庭園の花を選んでまとめる「フローリレギウム」と呼ばれる図譜の一例に当たります。
本には三六七枚の銅版画が収められ、植物が花を咲かせる季節に沿って図が並んでいます。ここで使われた銅版画は、銅板に刻んだ線へインクを詰め、紙に刷り取る技法です。原図の多くをベスラーが描き、複数の彫師が版を制作しました。
図版には、花や葉に加えて根まで描き、複数の植物を一枚に配した例もあります。たとえば、長い葉をもつ大きな株を中央に据え、その左右に別の植物を描いた図では、それぞれの下にラテン語の名前が添えられています。姿と名前を対応させながら、葉の形や花の付き方を比べられる構成です。
無彩色の本と、印刷後に手で色を加えた本があり、現存する図版には後世の彩色も見られます。大英博物館所蔵の一枚は、一六四〇年頃の版から刷られた図に、一九八〇〜九〇年代頃の彩色が加わったとされています。花の色を参考にする際は、刊行年と彩色の時期を分けることが大切です。同じ書名の図でも、目の前の色がいつ加わったかによって、当初の配色を伝える資料としての意味は変わります。