哲学・心理

単純接触効果

たんじゅんせっしょくこうか 別名:mere exposure effect・mere-exposure effect・反復接触効果

意味

単純接触効果とは、ある対象に繰り返し触れることで、その対象への好意や選好が高まる現象です。繰り返しで変化するのは親しみを含む評価であり、内容の正確さや有用性は別の基準で確かめます。

解説

ザイアンスは一九六八年、意味のない単語や中国文字に似せた図形を異なる回数だけ提示し、各刺激が良い意味を持つかを参加者に評価させました。提示回数の多い刺激ほど好意的に評価され、意味を学習した経験がなくても接触頻度と評価の関係が表れました。ここでいう「単純な接触」は、対象を知覚できる状態に置くことを指します。説得的な説明や報酬を加えた結果と区別するための条件です。

モアランドとザイアンスは一九七七年、見た刺激を思い出せるかという再認成績と好意を別々に測りました。二つの実験では、再認の影響を統計的に一定にしても、提示回数と好意の正の関係が残りました。少なくともこの実験条件では、対象を明確に思い出せることと、見覚えに伴う好意の上昇を分けられます。単純接触効果を「よく知っているから好き」と説明すると、再認記憶と評価の違いが抜け落ちます。

反復の効果は、回数に応じて一定割合で増える直線的な現象と異なります。一九八九年のメタ分析は、刺激の種類や複雑さ、提示時間、評価までの間隔、最大提示回数が効果の大きさに関係するとまとめました。二〇一七年のメタ分析は八十一論文から二百六十八の曲線を調べ、好意が上昇した後に頭打ちや低下へ向かう逆U字型の関係を報告しています。この結果は、刺激と提示条件をそろえて効果を判断する必要を示します。

占いデッキや解説文を選ぶ時は、初見の候補と使い慣れた候補から同じ枚数を取り、図像の識別しやすさ、出典、質問への適合を採点します。最後に候補名と使用歴を明かすと、親しみが評価へ加わった箇所を分けられます。ハロー効果は一つの印象が別の評価項目へ広がる現象、現状維持バイアスは変更の不利益を重く見て現在の選択を保つ傾向です。感情ヒューリスティックでは、その時の好悪が利益や危険の判断を動かします。