象徴

紫

むらさき 別名:purple・パープル

意味

紫とは、赤みの紫から青みの紫までを含む、幅のある色名です。光、染料、顔料では同じような紫の外観を作る仕組みが異なり、色名の範囲も色票体系や用途によって変わります。

解説

CIEでいう色相は、赤、黄、緑、青、または隣り合う色みの組み合わせに似て見える知覚属性です。測色上の紫刺激は、色度図で短波長側と長波長側の端を結ぶ紫境界と無彩色点に囲まれた領域に位置します。この領域は、短波長側と長波長側の光を加法混色して生じます。可視スペクトルを一方向に並べた帯には、両端を結ぶ位置関係が現れにくい点が要注意です。日常の「紫」はさらに広い色名で、NISTのISCC-NBS色名体系も、赤み、青み、明るさ、暗さ、灰みなどで紫系の領域を細分化しています。

歴史上の紫には、材料と製法の違いがあります。地中海の貝から得たティリアン・パープルは、主要な色素成分に6,6'-ジブロモインジゴを含む染料です。わずかな染料を得るために多くの貝を必要としたため、高価な衣服や写本へ使われた履歴が残りました。一八五六年にはウィリアム・ヘンリー・パーキンがアニリン由来のモーブを合成し、翌年に工場生産へ進みます。天然染料に限られていた供給が、合成染料によって大きく変わった例です。

見た目が紫でも、材料名を決めるには作品ごとの調査が要ります。ゲティ美術館の九世紀初頭の福音書写本では、紫のページを地衣類由来のオルセイン塗料で作ったと分析されています。ローマ期エジプトのミイラ肖像では、紫の衣服に茜レーキとエジプシャン・ブルー、または茜レーキと藍を混ぜた例が見つかりました。同調査が同定した紫の材料は、この二種類の組み合わせでした。外観の記録、年代資料、材料分析を順に重ねると、紫色と特定の染料を別々に説明できます。

王権や宗教との結び付きは、特定の時代に高価な染料や豪華な紫地写本が限られた人々と用途へ使われた履歴に支えられます。カードや作品では、まず紫が衣服、空、花、鉱物、発光部のどこに属するかを記録し、制作年代と地域の資料を照合します。地位、信仰、喪、創造性といった象徴には、それぞれの作品内の役割や文化的な用例という追加根拠が必要です。色材の希少性は歴史上の事実、人物の内面や出来事との関係は図像から導く解釈として分けて記述します。