象徴
物体色
ぶったいしょく 別名:object colour・object color・物の色意味
物体色とは、色が物体に属しているように知覚される見え方です。物体の反射・透過特性と照明、周囲、観察者が組み合わさり、表面色や透過色として現れます。
解説
CIEの定義による物体色は、物体に属しているように知覚される色です。紙や塗装から光が拡散反射して見える表面色は、その代表例に当たります。色ガラスや染液では、透過した光から物体に属する色が現れます。これらは、光を発する一次光源のように見える光源色と異なる知覚モードです。たとえば画面内で発光して見える領域は光源色、画面を囲む塗装や机の表面は物体色として観察できます。
目に入る色刺激は、波長ごとの光が眼へ入り、有彩色または無彩色の感覚を生じさせる放射です。不透明な表面では照明の分光分布と物体の分光反射率が働き、透明または半透明の物体では分光透過率、散乱、厚さも光の波長構成を決めます。周囲の色、観察方向、眼の順応状態は、物体から届いた光をどのように知覚するかに関わる条件です。このため「物体が持つ反射・透過特性」と「条件の中で知覚する物体色」を分けて記録します。
測色では、分光反射率または分光透過率と、イルミナント、標準観察者を用いてCIE三刺激値を計算します。CIELABへ変換すると、明度、クロマ、色相に対応する座標や色差を扱えます。測定記録に必要なのは、試料の状態、照明、観察幾何、標準観察者、背景です。ASTM E308が示すとおり、三刺激値は標準観察者の下で色刺激が一致するかを表す数値で、物体の外観全体には光沢や質感も加わります。色の数値と素材の見た目を併記すると、保存や品質管理の判断に使える記録になります。
視覚の色恒常性は、照明の分光分布が変わる場面でも、表面色をある程度同じ色として知覚させる働きです。ただし眼へ届く色刺激と測色値は照明に応じて変化し、恒常性の程度にも幅があります。分光反射率の異なる二つの試料が、ある照明下で色を一致させ、別の照明下で差を見せる性質がメタメリズムです。カードや図版では、最初に物体名、色、面積、表面の光沢、光源、影を観察事実として記録します。その後、顔料の歴史、衣服の制度、宗教的用途などの根拠から象徴を検討すると、測色上の事実と文化的な解釈を分けられます。