哲学・心理
選好
せんこう 別名:preference・選好関係・弱い選好意味
選好とは、ある候補を別の候補と比べ、本人がどちらを同等以上に望ましいとみなすかを表す関係です。日常語の「好み」より対象が明確で、候補と条件をそろえた比較に使う決定理論の概念です。
解説
決定理論では、「AはBと同じか、それ以上に望ましい」という比較を弱い選好と呼びます。AをB以上に望ましいとみなし、BをA以上に望ましいとはみなさない時、AをBより厳密に選好します。両方向の弱い選好が成り立つ場合、AとBは無差別、つまり同程度に望ましい状態です。選好は、このように二つの候補の間へ置く比較関係です。
実際に選んだ行動には、選好に加えて、予算、期限、周囲との約束、選べる候補の範囲も影響します。しかも、安定、収入、自由など複数の価値を一つの総合的な選好へまとめる過程は、質問の仕方や状況によって変わり得ます。一回の行動だけから本人の固定した好みを決める判断では、制約の影響が抜け落ちがちです。判断時の条件を残すには、候補、制約、比較した時点を一緒に記録します。
例えば、働き方Aを「収入は高いが週五日出社」、Bを「収入は下がるが週三日在宅」として比べます。本人が今後一年の通院時間を確保したいなら、現在の条件ではBをAより厳密に選好していると説明できます。通院が終わり、貯蓄を優先する時期へ移った後に比較結果が変わるのは、条件の変化に応じた自然な動きです。それを矛盾と決める前に、条件や優先度の変化を確かめます。
タロットでは、カード名、向き、人物、背景、配置が図像上の事実です。「安定を優先したい気持ちがある」という言葉は占術上の解釈であり、本人へ尋ねるための仮説です。どの進路を同等以上に望ましいと考えるかは、本人の比較によって初めて定まります。カードの意味を本人の選好として転記すると、解釈者の価値判断が混ざるためです。順位は本人が費用、時間、安全、変更可能性を比べて決めます。
選好順序は、二候補ずつの選好を候補集合全体へ広げた構造です。効用は、その順序を数値で表す方法を指します。完備性は、候補のどの組も比較できるという条件です。選好そのもの、候補全体の並び、数値表現、比較可能性を分けると、どこまで本人の判断が定まっているかを説明できます。