哲学・心理
効用
こうよう 別名:utility・utility function・効用関数意味
効用とは、結果や候補に対する本人の選好を数値で表す関数です。経済学と決定理論では、快楽、金額、社会全体の利益をそれぞれ別の概念として整理し、どの候補をどの条件で望ましいとするかを効用で表現します。
解説
確実な候補を並べる序数効用では、AをBより望ましいとする時に、効用もAの数値をBより大きくします。例えばAへ八十、Bへ五十、Cへ二十を置けば、伝わるのはA、B、Cの順位です。三つの数値を八、五、二へ変えても順序は保たれます。八十と四十の比率や、八十と五十の点差へ意味を持たせるには、追加の尺度条件が要ります。
結果が確率で変わる場面では、フォン・ノイマンとモルゲンシュテルン型の効用を使う方法があります。くじへの選好が完備性、推移性、連続性、独立性などを満たす時、各結果の効用へ確率を掛けた期待効用として表現できます。この効用は、正の定数を掛けて定数を足す変換まで同じ選好を表す尺度です。変換前後で間隔の比は保たれます。ゼロ点を任意に動かせるため、効用水準の比から「二倍望ましい」と読む方法は尺度の性質と食い違います。
効用という語は、本人が実際に感じた経験の良さを指す場面にも使われます。Kahneman、Wakker、Sarinは、選択から読み取る決定効用と、経験の快苦に関する経験効用を区別しました。講座Aを選んだ事実は、選択時の制約を含む決定効用の手掛かりです。受講中の満足や疲労は経験効用に関する記録であり、二つを分けると「選んだ案」と「体験して良かった案」の違いを振り返れます。
タロットカードで図像上の事実として記録できるのは、カード名、向き、人物、持ち物、背景、配置です。「安心を重く評価している」「未知の経験にも価値を置きたい」という言葉は占術上の解釈であり、望ましい結果を尋ねるための仮説になります。効用の順位や数値は、本人の選好、現実の選択条件、経験の記録から定めます。医療、法律、金融に関する結果と確率には、該当分野の資料や専門家の説明も必要です。
選好は二候補間の望ましさの関係、選好順序は候補集合全体の並びです。効用は、その関係を数値で表現します。期待効用は、不確実な各結果の効用へ確率を掛けて合計した候補全体の評価です。価値尺度は、多基準意思決定で各基準の実測値を望ましさの得点へ変換する道具で、確実な結果の評価に焦点を置きます。