石

多形

たけい 別名:polymorphism・crystal polymorphism・多形現象

意味

多形は、同じ化学組成の物質が二つ以上の異なる結晶構造をとる現象です。原子の種類と比率が同じでも、結び付き方や空間配置が変われば、別の結晶形として区別されます。方解石と霰石は、どちらも炭酸カルシウムでありながら異なる構造をもつ代表的な多形です。

解説

結晶構造は、原子やイオンの配置が三次元に繰り返される規則です。同じ組成でも、その配置と対称性が変わると、密度、硬度、劈開、光学的性質などに違いが現れる場合があります。外形だけでは内部構造を確定できないため、粉末または単結晶のX線回折などで格子と原子配列を調べ、どの多形かを判定します。

固溶体は、一つの結晶構造の中で成分比が一定の範囲を動く相です。多形を比べる時は、試料の化学組成が一致することを確かめた上で、結晶構造の差を判定します。同素体は、ダイヤモンドと黒鉛のように同じ元素だけから成る物質の構造差を明示する語です。層の積み重ね方だけが異なる多型現象は多形の特別な場合なので、文献を読む時は組成、構造全体、積層順序のどこが変わるかを確かめます。

炭酸カルシウムCaCO3は、三方晶系の方解石と斜方晶系の霰石として結晶化します。化学式は同じでも、カルシウムイオンと炭酸イオンの配置、対称性、X線回折パターンが異なるため、別の鉱物種です。同じ白色や無色の標本もあるため、両者の判定には色や柱状・塊状といった外観に加えて、内部構造の検査が必要です。

温度、圧力、周囲の化学環境が、どの構造を安定にするかを左右します。安定な構造が変わっても、原子の組替えに時間がかかると、以前の多形は準安定相として残ります。地表では黒鉛が炭素の安定な結晶形です。一方、マントルでできたダイヤモンドは通常の地表条件でも反応が進みにくいため、その構造を保ちます。多形から形成条件を考える際、平衡条件はどの構造が安定かを示します。実際にその構造へ変わったかを判断するには、反応速度とその後の履歴も検討対象です。

同じ組成から異なる構造が成り立つことから、多形を要素の配置変更へ重ねることがあります。これは結晶構造から導く現代的な比喩です。占いでは、新しい要素を足す前に、担当、順序、連絡経路の組み方を変えられるかを検討する視点になります。鉱物の多形は組成と構造の関係を表します。人の価値や運勢へ当てはめる場合は、文化的な比喩の範囲です。