占星術

トゥバン

とぅばん 別名:Thuban

意味

トゥバンは、りゅう座α星Aに付けられた固有名です。見かけの等級は3.67、距離は約260光年で、51.4日周期の食連星を形作ります。約4700年前は、歳差によって地球の自転軸が現在とは違う方向を向き、この星が北極星の役割を担いました。

解説

食連星とは、二つの星が互いの手前を通るたびに光を遮り、全体の明るさが周期的に下がる連星です。NASAのTESSは、トゥバンを構成する二星が互いを隠す短い減光を捉えました。二星は約51.4日で公転し、主星は太陽の約4.3倍の半径を持つ高温の星です。どちらも完全には隠れないため、減光は部分食として現れます。

歳差とは、地球の自転軸の向きが約2万6000年かけて円を描くように変わる運動です。約4700年前には自転軸の北側がトゥバンの近くを向き、この星が北極星として使われました。現在の北極星がポラリスなのは、歳差によって天の北極の位置が移ったためです。トゥバン自体が空の中心へ移動したという意味ではありません。

Thubanの名は、アラビア語で「蛇」を意味するthu'banに結び付けられています。ただし名称史は単純ではありません。もとはりゅう座γ星を示したra's al-tinnin(蛇の頭)が中世ラテン語でRastabanなどに崩れ、その後半がthu'banと誤って解釈されました。近代にThubanという形がりゅう座α星へ移され、国際天文学連合は2016年にA成分の固有名として承認しています。

プトレマイオスは、りゅう座の明るい星々へ土星、火星、木星の性質を配しました。固定星占星術で古い中心や守護を読む場合、この古典分類と、かつて北極星だった歴史が象徴の背景になります。食や歳差は観測で説明できる現象であり、人生の中心が変わることを予告する徴候ではありません。