哲学・心理
対応バイアス
たいおうばいあす 別名:correspondence bias・対応推論バイアス・特性推論の偏り意味
対応バイアスとは、状況や役割だけで行動を十分に説明できる場面でも、その行動が本人の安定した性格や信念を表すと推論する傾向です。目に見える行動と、行動を生んだ制約を分けて検討します。
解説
ジョーンズとハリスの一九六七年の実験では、フィデル・カストロを支持または批判する文章を参加者が読みました。書き手が立場を自分で選んだ条件に加え、実験者から立場を割り当てられた条件もあります。それでも読み手は、文章の方向と書き手本人の態度が対応すると推測しました。割り当てという制約を考慮しながら、その重みを十分に反映しきれない傾向が示された例です。
ロスらの一九七七年のクイズ実験では、参加者が質問者と回答者へ無作為に割り当てられました。質問者は自分の知識から難しい問題を作れるため、役割の時点で有利です。回答者と観察者はこの役割差を知りながら、質問者をより知識のある人物だと評価しました。ギルバートとマローンは、行動へ注意が向いた後、状況による修正が途中で終わることなど、対応バイアスへ至る複数の仕組みを整理しています。行動が目立つ場面ほど、誰が規則や選択肢を決めたかを別に調べる必要があります。
基本的帰属の誤りは、他者の行動を説明する際に性格を重く、状況を軽く見る広い傾向を指し、対応バイアスと重なる用法があります。この辞典では、明らかな状況制約のもとでも行動から対応する性格や態度を推論する現象を、対応バイアスの焦点とします。行為者観察者バイアスは、同じ行動について行為者と観察者の説明が異なるかを比べる概念です。ハロー効果は、一つの目立つ印象が別の特性評価へ広がる点を捉えます。名称が近くても、状況の軽視、立場による説明差、特性間の波及という問いは別々です。
人物カードを読んだ時は、描かれた役割と相談相手の性格を直結させる前に、観察できた行動を記録します。その隣に、与えられた役割、利用できた選択肢、時間や職場の規則、同じ行動が別の場面でも続くかを並べます。たとえば会議で発言が少ない事実だけから「消極的な人」と決めると、司会の進め方や発言時間が評価から抜け落ちるおそれがあるでしょう。カードは質問を作る手掛かりとして使い、性格の判定には本人の説明と複数場面の記録を合わせます。対応バイアスを意識すると、人物像を固定する前に状況側の説明を試せます。