哲学・心理

行為者観察者バイアス

こういしゃかんさつしゃばいあす 別名:actor-observer bias・actor-observer asymmetry

意味

行為者観察者バイアスとは、行動の原因を説明する時、本人は状況を、見ている人は本人の性格を重く挙げやすいとする仮説です。後年、百七十三件の研究をまとめた分析では全体に共通する差がほぼゼロで、出来事の評価や二人の関係、質問形式などによって現れ方が変わると分かりました。

解説

心理学でいう帰属とは、なぜその行動が起きたのかという原因を推測することです。この仮説は一九七一年、行動した本人と、それを観察した人とでは、原因の説明が異なるという形で提案されました。本人には周囲の事情が目に入りやすく、観察者には本人の行動が目立つという説明でした。

初期の実験では、参加者が自分と親しい友人について、交際相手や大学の専攻を選んだ理由を説明しました。自分の選択には相手や専攻の特徴を挙げ、友人の選択には友人本人の性質を挙げる傾向が報告されています。この結果が示す範囲は、調べられた課題と参加者に限られます。

二〇〇六年には、複数の研究結果を統合するメタ分析によって、百七十三件の公刊研究が検討されました。行為者と観察者の平均差はほぼゼロで、仮説どおりの差は、架空の出来事を説明する場合や親しい相手を観察する場合など、一部の条件に限られました。否定的な出来事では初期仮説に沿う傾向があり、肯定的な出来事では反対向きの差も見られています。この用語は、説明の視点による違いを点検する仮説として位置付けるのが妥当です。

対人関係のリーディングでは、自分の遅刻を交通事情で説明する一方、相手の遅刻を誠実さの欠如へ結び付けていないかが検討点です。双方について、観察した行動、選べた範囲、周囲の事情、繰り返しの有無を同じ欄に置けば、説明の基準をそろえられます。基本的帰属の誤りは他者の状況を軽く見る傾向、自己奉仕バイアスは成功と失敗を自分に有利な形で説明する傾向で、行為者と観察者の視点差とは検討する軸が異なります。