哲学・心理

認知バイアス

にんちばいあす 別名:cognitive bias・認知の偏り・判断バイアス

意味

認知バイアスとは、特定の条件で、注意、記憶、推論、選択が繰り返し同じ方向へ偏る傾向の総称です。一度の勘違いや性格上の欠点とは区別します。どの条件で、どの判断が、何と比べて偏ったかを確かめて使います。

解説

限られた時間と情報で判断する場面では、人は典型らしさ、思い出しやすさ、最初に得た数値などを手掛かりにします。トヴェルスキーとカーネマンは一九七四年、代表性、利用可能性、係留と調整というヒューリスティックを整理し、素早い判断に役立つ一方、条件によって系統的な誤りにつながると論じました。ヒューリスティックは判断を簡単にする方略、認知バイアスは判断や記憶に現れる一定方向の偏りです。簡便な方略を使った場合も、判断の正確さは課題と環境に照らして確かめます。

同じ結果でも、伝え方によって選択が変わる例があります。一九八一年のアジアの疾病問題では、六百人のうち二百人が助かると示された群の七二%が確実な案を選びました。一方、四百人が死亡すると示された群では、数学的に対応する不確実な案を七八%が選んでいます。この選択の反転は、利得と損失の表現が判断に関わったフレーミング効果の例です。

偏見は、人や集団に向けた先入観を指す用法が中心です。研究方法におけるバイアスは、標本の選び方や測定手順が結果を一方向へずらす問題を表します。認知バイアスは、考える人の注意、記憶、推論、選択に焦点を当てる呼び名です。個別の判断を調べる時は、正解や比較基準、起きやすい条件を示す必要があります。名称を相手の性格評価や診断に使うと、判断過程の検討から外れてしまいます。

カードを振り返る時は、絵に描かれた事実、そこから得た解釈、後日の出来事を別々に記録します。その隣に、同じ図像から考えられる別の解釈と、判断を変える条件を置きます。一致、不一致、判定不能の例を同じ期間から集めることが、印象の強い一件だけで評価する事態を避ける方法です。認知バイアスは、判断過程を調べるための名称です。記録方法と判断基準を直す手掛かりとして使います。