哲学・心理

代表性ヒューリスティック

だいひょうせいひゅーりすてぃっく 別名:representativeness heuristic・representativeness・代表性バイアス

意味

代表性ヒューリスティックとは、対象がカテゴリーの典型像にどれほど似ているか、また標本が母集団の特徴をどれほど表しているかを手掛かりに、所属や確率を判断する方略です。類似性を素早く捉えられる一方、母集団での割合、標本数、証拠の信頼性に与える重みが弱まる場合があります。

解説

カーネマンとトヴェルスキーは一九七二年、標本が母集団の特徴に似て見えるほど、その標本が得られる確率も高く判断される傾向を調べました。実験では、標本内の割合や平均が同じ時、標本数が違っても確率判断の差が小さくなりました。少人数の結果は大人数の結果より変動しやすいため、確率を考える際には標本数が重要です。代表性は類似性を使う判断方略です。誤答の有無は、基準率や標本数を含む確率情報との対応から判定します。

一九七三年の予測研究では、大学生と大学院生を含む八百七十一人が、短い人物記述から職業、学業成績、将来の成果などを予測しました。判断は記述と結果の典型像が似るほど高くなり、結果の事前確率や証拠の信頼性への反応は弱くなりました。記述が鮮明でも、予測精度は、その情報が実際の結果とどれほど結び付くかに左右されます。似て見えることと、起こりやすいことを別々に評価する必要があります。

一九八三年のリンダ問題では、人物記述に典型的に合う複合事象が、その一部だけの事象より起こりやすいと判断されました。連言の確率は各要素単独の確率を上回れないため、これは連言錯誤に当たります。著者らは、複合事象の方が人物像をよく表すことを理由として挙げました。一方、バー=ヒレルの一九八〇年の研究では、基準率が個別情報と同じ程度に関連すると受け取られた時、参加者は基準率も判断へ組み込みました。課題の表現と情報の関連性によって、基準率の使われ方は変わります。

タロットの人物像を実在の人へ当てはめる時は、先に候補となる分類と各分類の頻度を定めます。次に、発言、行動、頻度、反例を同じ表へ記録し、典型像との一致と具体的な証拠を別項目で採点します。基準率無視は同種事例の割合へ十分な重みを置かない判断、連言錯誤は複数条件がそろう事象を単独条件より高確率とする判断です。代表性ヒューリスティックでは、典型との類似を判断の手掛かりにした過程へ焦点を置きます。