哲学・心理

ヒューリスティック

ひゅーりすてぃっく 別名:heuristic・heuristics・簡便法・発見的手法

意味

ヒューリスティックとは、判断に使う情報の一部へ焦点を絞り、探索や計算の手間を減らす思考方略です。意識的な手順としても無意識に使う手掛かりとしても働き、速さと正確さは課題や環境との組み合わせで変わります。

解説

ヒューリスティック研究の背景には、人が利用できる情報と計算能力に限りがあるという限定合理性の考え方があります。サイモンは一九五五年、あらゆる選択肢と結果を計算して最適解を得る人間像に対し、実際に得られる情報と計算能力に合う合理性をモデル化しました。判断する人は、状況の表現を意図的に単純化し、自分が検討できる範囲へ収めます。限定合理性は判断を取り巻く制約の枠組み、ヒューリスティックはその中で探索や計算を進める具体的な方略です。

トヴェルスキーとカーネマンは一九七四年、不確実な状況で使われる三つのヒューリスティックを整理しました。代表性は、対象が典型例へどれほど似ているかから所属や確率を判断します。利用可能性は、事例や展開を思い出しやすい程度から頻度や起こりやすさを見積もる方法です。係留と調整では、最初に得た数値を出発点として予測値を動かします。これらは少ない労力で判断を作る一方、基準率、標本数、出発点の妥当性を省いた条件では一定方向の誤りにつながりました。

後続研究は、ヒューリスティックが主に課題へ使う労力を減らすと整理しています。情報の一部を省く方略でも、予測しにくい環境や標本が少ない条件では、すべての情報へ重みを付ける複雑な方法より正確になる例が報告されました。そのため、認知バイアスとヒューリスティックは役割が異なります。ヒューリスティックは判断を作る方略、認知バイアスは特定条件で判断や記憶に現れる一定方向の偏りです。方略の良し悪しは、同じ条件の記録と比較基準を使って確かめます。

カードを見た第一印象は、相談で調べる仮説を素早く作る手掛かりです。読む前に質問、対象期間、結果を判定する基準を決め、最初の解釈と根拠にした図像を記録します。次に加える比較材料は、相談者が話した事実、同じ図像から得られる別解、その出来事の一般的な頻度です。後日、最初の解釈、一致した事実、反例、判定できなかった部分を同じ表で比べれば、その手掛かりがどの条件で役立ったかを検討できます。ヒューリスティックという名称は判断手順を調整するために使い、直感を結論へ固定する根拠から外します。