哲学・心理

偶発性

ぐうはつせい 別名:contingency・contingent・偶発

意味

偶発性とは、実際に起きた出来事や真である命題が、条件が違えば起きなかった、または真でなかった可能性も持つことです。哲学では、必然でも不可能でもないものを「偶発的」と呼びます。日常語では予期しない出来事を指す場合もありますが、偶発的だから原因がないとは限りません。

解説

様相論理は、何が可能か、必然か、不可能かを考えるための論理です。そこで使う「可能世界」は、現実と条件が違っていた場合を比較するための考え方で、並行宇宙の存在を前提にする語ではありません。すべての場合に成り立つ命題は必然的、どの場合にも成り立たない命題は不可能、成り立つ場合と成り立たない場合がある命題は偶発的と整理します。

偶発的な出来事にも原因はあります。例えば、電車を一本遅らせたために知人と会ったなら、乗車時刻、同じ車両にいたこと、互いに気付いたことが出会いへつながります。別の電車を選んだ場合や片方が別の場所にいた場合には、出会わなかった可能性もあるでしょう。「原因が説明できること」と「ほかの成り行きがあり得なかったこと」は別です。

偶然性は、結果にどのような確率を与えるか、または一回の結果を確定できるかに関わります。偶発性は、条件が違う場合にも同じ結果が必ず成立するかを問う性質です。認識的不確実性は、観察者が必要な情報を持たず、どの結果か判断できない状態を指します。予測できないから偶発的だとも、偶発的だから各結果が同じ確率だとも限りません。

タロットで観察できる事実は、カード名、正逆の向き、人物、物、背景、展開上の位置です。「この札を引いたから出会いは運命として決まっている」という文は、図像の観察を越えた占術上の解釈です。読みでは、現在の条件が続く場合、行動を変えた場合、外部条件が変わった場合を分けると、別の成り行きを検討できます。札は一つの見方を示しても、将来が必然だという証明にはなりません。

偶然性は確率や結果の確定しにくさを問い、認識的不確実性は情報不足を表す状態です。自由意志と予測は予告と本人の選択が両立するかという問題であり、偶発性は別の結果もあり得たかという位置から三つの論点をつなぎます。相談では、変えられる条件、変えられない制約、まだ分からない情報を整理します。その整理は、偶発的な未来を固定した予告として伝えないための基礎です。