哲学・心理

認識的正当化

にんしきてきせいとうか 別名:epistemic justification・認識上の正当化・知識の正当化

意味

認識的正当化は、ある命題を信じることが、持っている理由や信念形成の仕方に照らして認識上ふさわしいという評価です。命題が真であること、理由を口頭で説明したこととは、それぞれ別の条件です。

解説

日常語の「正当化」は、批判を受けた人が自分の行動や考えを弁明する行為を指すことがあります。認識論の問いは、本人の弁明能力から独立した、信念への適切な支えです。十分な理由を持って信じた内容にも、新しい証拠によって誤りと判明する可能性が残ります。したがって、認識的正当化は信じた時点での認識上の支えを示し、真理の保証とは区別されます。

正当化には、命題的正当化と信念的正当化という区別があります。命題的正当化は、ある内容を信じるに足る理由を本人が持っている状態です。信念的正当化では、本人が実際にその内容を信じ、さらに適切な理由にもとづいて信じていることが焦点になります。会場変更を知らせる公式メールが十分な理由になっていても、本人がメールを読む前にカードの印象だけから変更を信じた場合、実際の信念の根拠はカードにあります。持っている理由と、結論へ至る時に用いた理由を分ける必要がある例です。

何が信念を正当化するかについて、認識論には複数の立場があります。内在主義は、経験や理由など、認識する本人の内側にある要因を重視する立場です。証拠主義はその代表例の一つで、本人の証拠に最も適合する態度を正当化されたものと考えます。外在主義には、信念を生んだ過程が実際に真の信念を高い割合で生むかを重視する信頼性主義があります。本人が理由を説明できることと、信念形成の過程が信頼できることのどちらを条件にするかが論点です。

一つの証拠が信念を支えても、追加情報によって支えが弱まる場合があります。そこで認識論では、反対証拠と打消し証拠を区別します。結論と反対の内容を直接支える情報が反対証拠です。最初の証拠と結論の結び付きを弱める情報は、打消し証拠に当たります。主催者の開催告知の後に中止告知が出れば反対証拠となり、最初の投稿が偽アカウントによるものだと分かれば、告知と開催の結び付きが崩れます。正当化の評価では、手元にある証拠全体と更新時点をそろえることが大切です。

タロット相談で観察できるものは、引いたカード、向き、配置、相談者が示した記録です。カードの象徴を状況へ結び付ける文章は、採用した占術体系にもとづく解釈に当たります。その解釈を「契約が成立する」「症状の原因はこれだ」といった現実の命題を信じる根拠にする場合は、契約書、連絡、検査結果など命題に対応する資料が別に要ります。これは、図像上の事実、占術上の解釈、現実の命題を支える証拠という区別です。何を観察し、どの理由から解釈し、何を外部資料で確かめたかを記すと、証拠主義、信頼性主義、認識論的内在主義との違いをたどれます。