哲学・心理
行為功利主義
こういこうりしゅぎ 別名:act utilitarianism・直接功利主義・行為効用主義意味
行為功利主義は、選べる行為を一件ごとに比べ、関係者全体に最大の効用をもたらす行為を正しいとする功利主義です。古典的理論は効用を幸福や苦痛の減少で捉えますが、何を効用に数えるか、実際の結果と予想できる結果のどちらを基準にするかには理論差があります。
解説
行為功利主義は、個々の場面で選べる行為の帰結を直接比べます。評価に数えるのは、その行為によって影響を受けるすべての人の効用です。これに対し、規則功利主義は、広く受け入れられた時に良い帰結を生む規則を先に評価し、その規則に従う行為を選びます。一件ごとの行為を直接評価するか、一般的な規則を介して評価するかが主な違いです。
ベンサムは、行為が共同体の幸福を増減させる傾向によって是認または否認されると述べました。ミルも、幸福を促す傾向を持つ行為を正しいとする功利主義の原理を説明しています。実際の帰結だけで評価する理論と、判断時に合理的に予想できる帰結で評価する理論は区別が必要です。後者では、結果の大きさに加えて起こる確率も考えますが、根拠のない数値を置けば精密に見える推測が増えるだけです。
行為功利主義には、全体の効用が増えるなら約束や個人の権利を侵害してよいのか、常に最大の善を求めると要求が重くなりすぎないかという批判があります。また、効用の合計が同じでも、利益と損失の配分は異なり得ます。少数者へ深刻な害を集中させる案と、多数者へ軽度の負担を分ける案を同じ合計だけで扱えるかは、配分的正義との重要な争点です。こうした批判は、権利、配分、要求の強さを評価へどう組み込むかという課題を示します。
現実の選択へ用いる時は、何もしない案を含む実行可能な選択肢、影響を受ける人、利益と害、起こる確率、時間の長さ、元に戻せるか、負担の配分を順に書き出します。直接の結果に加え、信頼の低下や将来の行動変化も検討の対象です。分からない結果は不確実性として残し、追加情報によって判断を更新する条件を定めると、都合のよい予測へ偏りにくくなります。
タロット相談では、引いたカード、向き、配置は観察できる事実です。そこから利益、損失、関係者への影響を考える文は占術上の解釈に当たります。結果の確率や効用は、統計、記録、当事者の状況など別の資料から見積もる対象です。カードは見落としていた選択肢や影響を考える問いとして使えます。一方、同意、個人情報、法的・医療的な安全条件は、総利益の予測と独立して守る制約です。観察、象徴解釈、帰結の予測、倫理判断を分けて記録します。