哲学・心理

制御の錯覚

せいぎょのさっかく 別名:illusion of control・コントロール幻想・統制の錯覚

意味

制御の錯覚とは、自分の行動と結果の因果関係がない、または限定されている場面で、望む結果へ及ぼせる影響を過大に見積もる傾向です。技能で変えられる部分と、偶然や外部条件で決まる部分を分けると、実際の制御範囲が見えてきます。

解説

ランガーは一九七五年、競争、選択、慣れ、関与など、技能課題を思わせる条件を偶然課題へ加えた六つの研究を報告しました。くじ券を自分で選んだ二十七人と、同じ当選確率の券を渡された二十六人を比べた研究では、抽選前に券を売るための希望額が平均八・六七ドルと一・九六ドルに分かれています。この実験が直接測った値は売却希望額です。選択した券の当選確率を参加者が何%と考えたかを測った結果とは区別する必要があります。

その後の研究は、行動した時と行動しなかった時の結果を比べられるかが、制御判断に影響すると示しています。マトゥーテの実験では、反応と無関係に結果が生じる課題で、望む結果を得るよう指示された群は多くの試行で反応し、統制感を過大に評価しました。反応と結果の関係を分析するよう指示された群は、反応する試行と反応しない試行を確保し、両条件で結果の頻度が同じだと捉えています。成功した場面だけを数えると、何もしなくても起きた結果との比較が抜けます。

選択そのものが制御の錯覚を生むという説明には、再検討もあります。クルソウスキーらは二〇二一年、オンラインと実験室の参加者一万八百二十五人を含む十七実験を行いました。機能的に同じ選択肢では、選べることが望ましい結果への期待を高める例は少なく、差が出た条件は実際の制御がある場合か、参加者が選択肢に差があると事前に信じていた場合でした。選択、慣れ、関与が見られた時も、客観的な因果関係と測定方法を調べてから制御の錯覚かを判定します。

タロットを自分で引く行為は、質問への集中と解釈への参加を助けます。公平に無作為化された山札で特定カードを引く確率は、山札の構成と抽選手順から決まる数値です。願いの強さは質問への関与として解釈欄へ置き、確率計算から分けます。検証表の左欄は、連絡する、期限を決める、料金を比較するといった実行可能な行動、右欄は相手の返答、偶然の抽選、外部の決定です。行動した場合と見送った場合を同じ期間と判定基準で比べることで、自分の行動が結果へ加えた差を検討できます。カードを戻さずに引く場合は山札の構成が変わるため、その変化を確率として計算します。