哲学・心理

係留と調整

けいりゅうとちょうせい 別名:anchoring and adjustment・anchoring-and-adjustment・アンカリングと調整

意味

係留と調整とは、数量を見積もる時、最初に浮かんだ値や示された値を出発点にし、最終的な答えもその値の近くに残りやすい現象です。研究では、自分で思い出した基準値から調整する場合と、外から示された値に合う情報が思い出されやすくなる場合に、異なる仕組みが提案されています。

解説

係留点は、見積もりの出発点となる数値や基準です。一九七四年の実験では、参加者が運任せに決まった一〇または六五という数字を見た後、国連加盟国に占めるアフリカ諸国の割合を推定しました。推定値の中央値は、一〇を見た群で二五、六五を見た群で四五でした。問題と無関係な数値でも、その後の推定が近くに引き寄せられた例です。

自分で基準値を思い出す場面では、その値から妥当と思える方向へ少しずつ動かし、もっともらしい範囲に入ったところで探索を止める過程が報告されています。たとえば、ある都市の人口を知っている都市の人口から推定する場合です。時間や注意が不足すると動かす幅が小さくなり、答えは出発点の近くに残ります。

外から与えられた係留点には、別の説明もあります。その数値が正しいと仮定した時に当てはまる特徴が思い出され、推定へ使われやすくなるという説明です。係留点と異なる特徴を意識して挙げると影響が弱まった研究もあります。効果の強さは、数値がどれほど極端か、回答と同じ尺度かといった条件で変わります。

タロットへ応用するなら、最初に出たカードや相談者の第一声を、結論を固定する根拠にしないための点検に使えます。各カードについて、配置、描かれた事実、そこから考えた解釈を別々に記録し、全体を見る前に一枚ずつ書き出します。その後、最初の仮説と反対の仮説の双方に合う情報を比べれば、どこで読みを調整したかが明確です。係留研究は数値判断を中心に調べたものであり、カード解釈への適用は判断手順を整えるための応用です。