哲学・心理

認知的不協和

にんちてきふきょうわ 別名:cognitive dissonance・不協和低減・認知の不協和

意味

認知的不協和とは、自分の知識、意見、信念、行動の間に折り合いの悪い関係がある時に生じる、心理的な不快感や緊張です。その緊張を弱めるため、行動や考えを変えたり、理由を加えたり、矛盾を強める情報を避けたりすることがあります。

解説

フェスティンガーは一九五七年、環境、自分自身、自分の行動について持つ知識、意見、信念を「認知」と呼びました。二つの認知が食い違うと、不協和を減らそうとする力が生じます。行動を変える、考えを修正する、別の理由を加える、矛盾を強める情報から距離を置く、といった反応が候補です。どの反応を選ぶかには、状況と個人による違いがあります。

一九五九年の実験では、参加者が単調な課題を終えた後、次の参加者へ「課題は面白い」と伝える役を依頼されました。報酬は一ドルまたは二十ドルです。一ドル群は、二十ドル群や統制群に比べ、後から課題を面白かったと評価しました。少額の報酬では、事実と異なる説明をしたことを外的な理由だけで正当化しにくく、課題への態度を変えて不協和を減らしたと解釈されています。この実験が示したのは条件間の平均差です。個々の参加者の心の動きには、別の検討が必要です。

選択支持バイアスは、選んだ案の長所や見送った案の短所を、その選択に合う形で記憶し直す傾向です。信念固執は、根拠が否定された後にも信念が残る現象を指します。埋没費用は、すでに使った金銭や時間が今後の選択へ影響する問題です。三つとも認知的不協和と同時に起こる場合はありますが、それぞれ異なる現象として定義されています。また、自分に都合のよい情報を選びやすい傾向は平均として報告される一方、正確さを重視する状況では反対情報へ目を向ける場合もあります。

有料の鑑定結果と現実が食い違った時は、支払った金額への気持ちと、鑑定内容の評価を分けることが出発点です。鑑定前に書いた相談内容、実際の説明、期間や判定条件、後日の出来事を同じ表で照合します。説明を後から変えた箇所には、元の記録を残したまま変更日と理由を添えます。こうすれば、当初の説明との差が見えるでしょう。意見の食い違いや不快感だけで特定や診断へ進むと、根拠が不足します。