哲学・心理

偽の合意効果

いつわりのごういこうか 別名:false consensus effect・偽合意効果・合意の過大推定

意味

偽の合意効果とは、自分が選んだ意見や行動を、他の人も選ぶ割合を高く見積もる傾向です。同じ対象でも、本人がどちらを選んだかに応じて集団への推定が変わる現象を指します。

解説

一九七七年の四つの研究では、参加者が二択の意見や行動を選び、同じ選択をする人の割合を推定しました。よく知られた課題の一つは、「Eat at Joe’s」または「Repent」と書かれた看板を学内で持ち歩く依頼です。依頼を受けると答えた人は、拒んだ人と比べて、同じく受ける学生の割合を高く見積もりました。また、自分と異なる選択をした人物について、性格を強く推論する傾向も報告されています。

自分の回答は、集団について得た一件の情報なので、推定の出発点にすること自体には合理性があります。偽の合意効果は、その一件へ過度な重みを置き、他の情報を十分に反映しない場合に生じる推定の偏りです。百十五件の仮説検定をまとめたメタ分析でも、自分の選択と推定割合が結び付く平均効果が報告されました。後続のレビューは、似た人と接する機会、思い出しやすさ、注意の向き、推論、動機など、複数の仕組みを挙げています。どの仕組みが関わったかは、対象集団と利用できた情報を見て判断する必要があります。

多元的無知は、多くの人が私的には規範へ同意していないのに、他者は支持していると推測する状態です。偽の合意効果では、自分の意見を集団にも広く当てはまると見積もります。知識の呪いは、自分が知る情報を相手も知ると想定しやすい傾向で、推定対象は知識の共有です。内集団バイアスは所属集団を好意的に評価する点、同調は自分の判断や行動を集団へ近づける点に焦点があります。偽の合意効果が問うのは、自分の選択から集団の割合をどう推定したかです。

占い相談の前に、「多くの人は結婚を望む」「独立した働き方を好む」といった占い手自身の予想があれば、仮説として記録します。相談では、本人の希望、避けたい条件、家族や職場の状況を中立的な質問で聞きます。本人の回答と占い手の予想が一致した場合も、その一件が示す範囲は本人の回答までです。集団の傾向が必要な場合は、対象となる地域や年代を定め、代表性のある調査資料を使います。カードの図像は質問を作る手掛かりです。偽の合意効果を意識すると、自分の常識と相談者の価値観を分けて記録できるでしょう。