哲学・心理
後知恵効果
あとぢえこうか 別名:hindsight bias・knew-it-all-along effect意味
後知恵効果とは、結果を知った後に、結果を知らなかった時点の予想や不確実さを過小評価し、「予測できたはずだ」と感じる傾向です。事前判断の記憶、結果の必然性、自分の予測能力という三つの評価に表れます。
解説
フィッシュホフは一九七五年、歴史上または臨床上の出来事を約百五十語で説明し、四つの結末を示す実験を行いました。結果を伝えない群と、四つのうち一つを実際の結果として伝える群を比べると、結果を伝えた二十四通りの比較すべてで、その結末に割り当てる確率が上がりました。上昇幅は平均一〇・八ポイントです。結果を知ると、その結末につながる情報まで重要に見え、他の結末があり得たという事前の不確実さを再現しにくくなりました。
同じ論文の別実験では、結果を知った参加者に、その情報を無視して事前の判断を再現するよう求めています。それでも十六通り中十三通りで、伝えられた結末の推定確率が、結果を知らない群の平均を上回りました。結果を知らない他者の判断を推測する課題でも、十六通り中十四通りで同じ方向の差が生じています。後知恵効果には過去の答えを忘れる問題に加え、現在知っている結果から離れて以前の見方を組み直しにくい問題があります。
百二十二研究をまとめた一九九一年のメタ分析では、確率判断における平均効果は相関係数〇・一七で、課題への習熟度や与える結果情報によって大きさが変わりました。二〇一二年の研究レビューは、以前の判断を違って記憶する「記憶の歪み」、結果を避けられなかったとみなす「必然性」、自分なら予測できたと考える「予見可能性」を区別しています。確証的情報探索は支持する情報の選び方に焦点があり、後知恵効果は結果を得た後に過去の見込みを作り替える点が中心です。
カードを開く前の記録表には、質問、対象期間、起こり得る複数の結果、各結果の確率や確信度を置きます。開いた後に加えるのは、描かれた物を記す事実欄と、そこから導いた意味を記す解釈欄です。予測を変えた時は変更時刻と理由も添えます。結果が判明したら当初の記録へ戻り、的中した説明と事後に加えた説明を照合できます。事前に考えた理由を後から提示した実験で後知恵効果が弱まったため、記録は保存と読み返しを一組にするのが要点です。